課題解決とゴール設定

安宅氏の書籍「風の谷」という希望を読んでいたら、課題解決の2型が出てきて、自分がゴール設定や課題解決に関して考えていることの整理をまとめてみました。
2つの型の簡単な説明
ギャップフィル型課題解決
明確に目指すべき姿がわかっている時の課題解決。目指す場所は理想状態というより健常状態。例えば車のブレーキパッドが規定を超えて減っているので車検が通らないからブレーキパッドを交換する。誤字脱字を修復するなどです。行うことは現状と健常状態の間のギャップを解析し、何がギャップを生んでるのかを解明し、打ち手を実行します。求められるのは効率です。
ビジョン設定型課題解決
目指すべき姿はあるが、どのように到達したらいいのかわからない時に使われる課題解決。例えば理想の会社を作る。この世から誤字脱字を消すなどです。まずはゴールを見極め、現状とのギャップを考え、何をしたらいいのかのアクションプランを考え、実行していきます。
氏も書いているのですが、ビジョン設定型に多くの人は慣れていません。 これは人々がビジョン設定型を使うような課題に接した機会が少ないからだと思います。 では、ビジョン設定型は必要のない手法なのかというとそうではなく、むしろこれからは多用する必要があるものだと私は考えます。
ギャップフィル型を使う時
ギャップフィル型は目指すべき状態が明確な時に使うとあります。つまり、既知の状態に使うものになります。ここでの既知とは過去体験したものになります。動いていたシステムに複数の修正を入れた後に動かなくなった場合、少なくとも入れた修正箇所を全て元に戻せば、元通り動くはずです。また、これがチームでの仕事の場合は、チーム全員が既知の健常状態を知らないと、うまく協働できない可能性があります。
既知で明確な課題は意外と少ない
ギャップフィル型を使う時のよくある勘違いは、他者や他のチームがやったことがあることだから、自分たちにとっても既知であり、同じようにギャップフィル型として課題解決できると誤認してしまうことです。
また、一回やったことがある程度のものを既知として捉えてしまうのも、よくある勘違いかなと思います。勘違いは、課題の性質と自分の経験を正しく見積もれていないところから起きます。
課題には単純なものと複雑なものがあります。単純な課題は、既知であり、要素の組み合わせが少なく、多少のズレを許容できます。一方、複雑な課題は、未知の部分があったり、要素の組み合わせ数が多かったり、多少のズレも許容できないものになります。
そして、経験が十分であるというのは一度程度ではありません。人間であれば健常状態の観測回数は毎日毎分毎秒であり、だからこそ、健常状態から外れた時にすぐに異常に気づけるのです。
ビジョン設定型を使う時
既知で明確な課題以外のものには、ビジョン設定型が効力を発揮します。ビジョン設定型を使う時のキモは当然良いビジョンを設定することです。
小さいプロジェクト(ここでのプロジェクトは何かに向けて推進するための個人ないしは集団の行動程度の意味)であれば、良いビジョンを設定するだけで良く、プロジェクトの規模に合わせてゴールの設定、進捗可視化のためのメトリクス、メトリクスの中からKPIの抽出などなど行っていきますが、今回はとりあえずビジョンの話。
良いビジョンとはなにか?私の考えは志向性と写実性を持っていることです。
志向性
志向性があるビジョンは3つの要素が満たされているものです。
1つ、自分のエゴと繋がっていること、自分が個としてやりたいこと欲望と接続していること。これは別に高尚なものでなくとも大丈夫です。自分のニーズを理解し、それと真摯に向き合いましょう。
2つ、社会が必要としているものであること、ここでいう社会はあなたから見たシステムです。あなたが貢献したいと思うシステムです。家族かもしれません、日本かもしれません。地球かもしれません。どれでも大丈夫です。貢献したいシステムが必要としているものです。
3つ、持続性があるもの。ここでの持続性とはプロジェクトに対する推進力の持続性です。刹那的であったり、破壊的であったりすると、ビジョンが掲げられてもプロジェクトは前に進まなくなります。
志向性があるビジョンは、プロジェクトを健全に前に進める力があります。
写実性
ビジョンの写実性とは、明確にイメージできるということです。それは映像的な意味であり、詩的な意味ではありません。みんなが幸せになることというビジョンでは、幸せになった人たちがどのように暮らしているのか、どこに座り何を食べ、何を話しているのかまで掘り下げていくことが大事です。
定性的要素と定量的要素
ビジョンには定性的要素、つまり、「楽しそう」「忙しそう」「暑そう」などの雰囲気や文化を表す数量化できないものと、定量的要素「売上が◯◯円に達している」「車の速度が50km/h」などの数値化できるものがバランスよく配置されていると、伝わりやすく、共有しやすくなります。
ビジョン設定型課題解決を進める時
ビジョン設定型課題解決をする時は、課題そのものがビジョンへのサーチライトになります。課題を解決するための行動も、完全に解決できないことがほとんど、そこで得た体験があらたなビジョンへの手がかりになります。現実を見て、ビジョンとのギャップを考え、行動に移した先には新たな現実が待っています。そこから何度もビジョンを見ながら、どこにいくかを考え続けることが必要になります。